きもののまち新潟県十日町の着物工房「きものの青柳」

新潟県十日町市は、もともと織物の産地として知られていましたが、昭和の時代からは「染物」も盛んに行われるようになりました。

現在では、京都・加賀・東京の日本三大友禅にひけをとらない友禅染めの産地になっています。

そんな「きもののまち」十日町から、着物のトップメーカーとして全国的にも有名な「きものの青柳」さんをご紹介します。 千葉県香取市の谷屋呉服店では、伝統の職人技が光る「青柳」の着物を取り扱っております。まさに「逸品」という名にふさわしい着物を、ぜひ谷屋へ見に来てください。

三大友禅に並ぶ「十日町友禅」

友禅染めの発祥とされる京友禅に、加賀友禅、東京友禅を加えて、「日本三大友禅」とされています。新潟県十日町はこれらの三大友禅にも並び称せられる「友禅染めの産地」として有名です。友禅染めとしての基本的な技法は同じですが、それぞれの産地ごとに生産方式やデザインの特徴があります。
京友禅は、商家が中心の町らしく華やかでゴージャスな印象です。染めあがった着物には、金・銀彩や刺繍などで豪華なお化粧が施されます。また、多くの職人や工房による「分業体制」で製作されるのが京友禅の特徴です。
加賀友禅は、「武家好み」の落ち着いた色彩や写実的・絵画的なデザインを特徴としています。京友禅と異なり、仕上げの加工はほとんど行われません。
東京友禅(江戸友禅)は、「江戸っ子」趣味の渋くて都会的なデザインが特徴です。すべての工程を一人の職人が一貫して行います。
「十日町友禅」は、三大友禅に比べると新しい産地です。もともとは、麻や絹の「織物」が盛んな土地でした。大正期には、十日町産の「明石縮(あかしちぢみ)」が爆発的な人気を誇りました(明石縮はもともと播州明石(兵庫県)の名産でしたが、現在では十日町で生産されています)。昭和30年代頃からは、十日町でも友禅染めや絞り染めが行われるようになりました。「十日町友禅」の特徴は、他の産地と異なり、メーカー(製造会社)ごとに社内での一貫生産を行っていることです。また、伝統の職人技を守りながらも、「新しい産地」らしく、現代的な色彩やデザインを積極的に採り入れています。十日町の着物メーカーは、それぞれに独自の強み・高いブランド力を持ち、着物通の方にとても人気があります。

「きものの青柳」

「きものの青柳」というと、桶絞りの振袖や訪問着を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。青柳の代名詞ともいえる「桶絞り」と友禅染め・箔・刺繍を組み合わせた技法は、初代社長により開発されました。
2代目となった昭和50年代頃からは、自社での「一貫作業システム」が導入されています。青柳の着物は、図案の製作から、染料づくり、桶詰め、桶染め、仕上げ、友禅染め、箔、刺繍その他数多くの工程を経て、「一貫生産」で作られます。それぞれの工程が、その道のプロである職人さんの手仕事によるものです。なお、「きもののまち」十日町は、「見学・体験」などを行っているオープンな雰囲気の工房が多いのも特徴です。「きものの青柳」でも、随時工房見学や友禅染体験・絞り染め体験を受け付けていますので、興味のある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

桶絞り

桶詰め作業

桶絞りは、たくさんある「絞り染め」の技法の一つで、ヒノキの桶を使ってダイナミックな模様を染め出します。染める部分は桶の外に、染めない部分は桶の中に入るように、丁寧に生地を縫ってから、蓋をして染色液につけます。一回に一色しか染められませんので、染める色の数だけ作業を繰り返します。

友禅染め

友禅染めの技法には、大きく分けると「型友禅(板場友禅)」と「手描き友禅」があります。青柳の着物は、友禅染めと桶絞りを巧みに組み合わせたデザインが特徴的です。着物好きの方にとって、最も「青柳らしさ」を感じるデザインと言ってもいいでしょう。「十日町友禅」の特徴でもある美しい発色と、現代的なセンスと気品を感じさせる意匠美が魅力です。

箔・刺繍

青柳の着物は、友禅染め・絞り染めに、箔や刺繍を組み合わせたデザインも特徴です。こうした「装飾加工」は、友禅染めや絞り染めが終わってから、「最終工程」として行われる作業です。「きものの青柳」ホームページの言葉を引用すると、箔作業には「自分の工程のところで、ムードを変えられる喜び」があるのだとか。職人さんの思いが感じられてとても素敵ですね。すべて手作業による「お化粧」によって、さらに格調高さと華やかさが加えられています。

創作染め紬

「紬」は、先染めの糸で作られる「織り」の着物です。紬糸には「節」が入るため、独特の風合いが生まれ、パリっとしていて着付けやすいのも特徴です。「染め紬」は、本来「先染め」である紬に、友禅染めや絞り染めなど「後染め」の模様を施した着物です。「きものの青柳」では、赤城紬やぜんまい紬、上田紬、真田紬など、上質な紬に「型友禅」「手描き友禅」「絞り染め」を施した着物を創作しています。カジュアルシーンに重宝する紬の着物に、「青柳の技と美」が余すところなく発揮されており、「通」な大人のおしゃれを楽しむことができますよ。

谷屋へ「青柳のきもの」を見に来てください

千葉県香取市にある「谷屋」は、嘉永元年(1848年)創業の老舗呉服店です。振袖や訪問着、留袖といった「礼装」のほか、小紋着物や紬の着物など、カジュアルシーンに活躍する着物も幅広く取り扱っております。定期的に開催いたします展示会にてキモノ青柳の着物を一堂に揃えます。
ぜひ、その際はお立ち寄りください。