舞踊家・きもの創作家「岩井友見」の着物

歌舞伎役者・日本舞踊家の故・十代目岩井半四郎の長女である岩井友見さんは、自身も舞踊家・俳優として舞台やテレビなどで幅広く活躍されてきました。2020年には、日本舞踊の岩井流宗家家元として「十一代岩井半四郎」を襲名されています。

コロナ禍で日本全体が暗く沈んだ時期でもあり、伝統芸能や着物に関わる分野において、久々の明るいニュースとなりました。

岩井友見さんは、日本の伝統美に対する類まれな感性と情熱を「ものづくり」にもそそがれてきました。「きもの創作家」として、自身の着物ブランドを持ち精力的に活動されています。

岩井友見の「創作きもの」は、舞踊家として培った美意識と経験から、実際に身にまとったときの動きやすさと美しさを追求した着物です。

古き良き伝統を大切にしながらも、現代らしいセンスを採り入れた岩井友見「創作きもの」は、多くの着物ファンに愛されています。

岩井友見オリジナルブランド「友見の舞い」

3歳で歌舞伎座の初舞台に立った岩井友見さんは、その後、岩井家の養女となり、本格的に舞踊家としての道を歩みます。

日本舞踊家として研鑽を重ねる傍ら、父である十代岩井半四郎の影響もあり、着物の創作活動を始めます。

1981年に日本舞踊正派岩井流の家元を襲名した後、1984年には、オリジナル着物ブランド「友見の舞い」が発表されました。

岩井友見の創作きものは、たびたび皇室にも謹呈されるなど、上質で品格あるデザインを特徴としています。

「ものづくり」としての創作きもの

著名人や俳優の名を冠する着物ブランドはこれまで数多く作られており、とても人気があります。

著名人がブランドイメージを象徴するケースや、完成した物から気に入ったデザインを自ら選ぶといった関わり方が一般的です。

岩井友見の「創作きもの」は、こういった着物ブランドとは一線を画します。

岩井友見さんは、実際に、生地選びや図案化の段階から製作に加わるなど、「ものづくり」の現場に深く関わり情熱を傾ける「きもの創作家」として活躍されています。

自身も日常的に着物を愛用する確かな見識から、素材に徹底的にこだわっているのも特徴の一つです。

例えば、岩井友見の着物には、模様を染め上げる前の「白生地」として、創業から300余年の歴史を持つ老舗メーカー「大塚」の生地がよく使用されています。

身にまとったときに美しく

日本舞踊家としての類まれな美意識と感性は、「創作きもの」のコンセプトにも存分にいかされています。

一般的に、振袖や訪問着などに代表される高級着物のデザインは、衣桁(いこう)にかけた時に一幅の絵画のようにも見える美しさを特徴としています。

このように「美術品・芸術品」にも通ずる意匠性を持つ着物は、一方で、実際に着て活動するための「衣料品・実用品」としての役割も持っています。

着物が日常着とは呼べなくなった現代にあっても、「着て楽しむ」「美しく装う」ためのファッション・アイテムとして、日本の女性たちの憧れの的となっています。

岩井友見の創作きものは、衣桁にかけた時に映える美しさよりも、「身にまとい、動いたときに美しく見える」デザインをコンセプトとしています。

実際に着物を着て舞台で踊る日本舞踊家ならではの知見から、「シワになりにくい」「動きやすい」ことはもちろん、「着て動く時に最も美しく見える」ことにこだわってデザインされています。

現代の「新しいきもの」として

岩井友見の創作きものは、日本舞踊の舞台衣装である「舞い衣」のモチーフを「現代のきもの」として再現しています。

日本の伝統的な意匠を基本としながらも、決してそこに固執することなく、現代的な感性を採り入れたデザインが特徴です。

クラシカルでありつつ、都会的でモダンな雰囲気は、着物通でなくとも一目で「きれいだな」「素敵だな」「着てみたい」と素直に感じられるデザインです。

有名な着物雑誌で紹介されることも多い「岩井友見のきもの」ですが、実は、岩井友見さん自身は、普段あまり着物雑誌には目を通さないのだとか。

ファッション誌などは常にチェックして、トレンドカラーや「時代の空気」を感じることで、きもの創作のための情報収集をされているそうです。

また、家元として忙しい身にも関わらず、岩井友見さん自ら着物の展示会や販売会に足を運び、講演活動や美しい着付けのためのアドバイスも積極的に行われています。

「着物の素晴らしさを広めたい」という使命感が、岩井友見さんの「ものづくり」の原点となっているのでしょう。その情熱が多くの着物ファンの心をつかんでいます。

岩井友見の創作きものを「谷屋呉服店」で

千葉県香取市にある谷屋呉服店は、嘉永元年(1848年)創業の老舗呉服店です。

振袖、留袖、訪問着など「晴れの日」の着物はもちろん、小紋着物などカジュアル着物から男性着物まで、呉服全般を幅広く取り扱っております。

谷屋呉服店では、全国各地から取り寄せた着物や帯、和装小物などをご紹介する「展示会」を定期的に開催しております。 今後開催の谷屋展示会にて、岩井友見「創作きもの」をご紹介させていただく予定となっておりますので、その際はぜひお立ち寄りくださいませ。