【知っておきたい着物TPO】結婚式のゲストの装いとしての着物

ジューンブライド

ヨーロッパでは「ジューンブライド(6月の花嫁)」は幸せになれるとして、6月が結婚式に人気のシーズンです。日本ではちょうど梅雨入りになるため、一番人気ではないそうです。

日本では、気候が良く連休の多い9月~11月が結婚式の多い時期になっています。

同じく気候の良い「春」から「初夏」にかけても、結婚式のおよばれが多い季節です。

これから、結婚式にゲストとして参加される方は、ぜひ着物姿で出席されてみてはいかがでしょうか。

今回は、結婚式の「ゲストの装い」としての着物についてお伝えいたします。

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結婚式には「フォーマル着物」で

結婚式は、新郎新婦や両家のご両親が「ホスト」となり、親戚や勤務先の上司・先輩・同僚、親しい友人などを招待する形で開催されます。

新しい家族をお披露目する大切な儀礼の場ですので、フォーマルシーン(オケージョンシーン)として、参列者は「正装・礼装」で出席します。

洋装で出席する場合は、パーティードレスやセレモニースーツを着用します。

和装の場合には、カジュアル着物(浴衣、小紋、紬など)ではなく、フォーマル着物(振袖、訪問着、付下げなど)での出席が必要です。

カジュアル着物とフォーマル着物の区別については、以下の記事で詳しくご説明しておりますので、ぜひご参照ください。

【知っておきたい着物のTPO】カジュアル着物とフォーマル着物の違い | 谷屋呉服店

ゲストの装いに適した「フォーマル着物(礼装)」は?

フォーマル着物には、留袖、振袖、訪問着、付下げなどがあります。

このうち、黒留袖は「既婚女性の第一礼装」とされており、最も格式の高いフォーマル着物です。

結婚式では、新郎新婦の母(およびホスト側の既婚親族)が「黒留袖」を着用します。

「フォーマル着物(礼装)」

結婚式のゲストは、ホスト側と同格になることを避けるため、黒留袖は着用しません。

また、黒以外の「色留袖」は既婚未婚を問わず着用できます。現在は、新郎新婦の姉妹が着用するケースが最も一般的です。

なお、5つ紋入りの色留袖は黒留袖と同格の「第一礼装」ですが、3つ紋以下の場合は「準礼装」の扱いとなります。

そのため、結婚式のゲストは、黒留袖と同格になる「5つ紋入りの色留袖」は着用できません。

本来は、3つ紋以下の色留袖でしたらゲストも着用可能ですが、「留袖」はホスト側親族のイメージが強いので、避けられる傾向にあります。

このほかの「フォーマル着物」として、振袖、訪問着、付下げなどが、結婚式のゲストに適した装いとなります。

未婚ゲストは「振袖」を

「振袖」で結婚式に出席する未婚女性

振袖(ふりそで)は、「未婚女性の第一礼装」とされる装いです。

新郎新婦の姉妹など、ホスト側の未婚親族が振袖を着用する場合もありますが、ゲストが着用しても問題ありません。

むしろ、未婚ゲストに最もふさわしい装いは、振袖といって差し支えないでしょう。

振袖姿の出席者は、結婚式や披露宴の会場に華やぎを与えてくれるため、新郎新婦をはじめホスト側の親族にもとても喜ばれます。

成人式でご購入された振袖がお手元にある方は、結婚式のおよばれの席にぜひ振袖をお召しになってください。

もちろん、振袖一式をレンタルすることも可能です。

成人式では、「同世代の集まり」として、振袖姿もかなり自由なコーディネートを楽しめるようになりました。

結婚式は、新郎新婦やホスト側に配慮して、「正統派」の振袖スタイルを心がけましょう。

・上品なイメージの振袖を選ぶ

・アクセサリーは控える

・ブーツなどは避けて礼装用の草履で

既婚ゲストは「訪問着・付下げ」がおすすめ

「フォーマル着物」で結婚式に出席する既婚女性

「訪問着(ほうもんぎ)」は、未婚既婚を問わずに着用できるフォーマル着物(準礼装)です。

【知っておきたい着物TPO】訪問着はどんな時に着る? | 谷屋呉服店

振袖や留袖と同様に、格式の高い「絵羽(えば)模様」の柄つけになっています。

着物全体に柄が描かれたゴージャスな「総柄」タイプと、肩や衿元、裾、袖に模様の入った無地場の多いタイプがあります。

なお、シンプルな訪問着は、一見すると留袖に似ている場合もありますが、留袖は裾にしか模様が入っていないのに対して、訪問着は必ず裾以外にも模様が入ります。

「付下げ(つけさげ)」着物は、訪問着よりも柄が控え目ですっきりとしています。

着物の格としては訪問着に準じる位置づけとなりますが、実用的な着用シーンとしては訪問着とほぼ同じと考えて問題ありません。

付下げはシンプルで着やすいため、訪問着よりも付下げを好んで着用される方も増えています。

結婚式のゲストとして「訪問着・付下げ」を着用する場合には、礼装用の帯・小物類をコーディネートします。

・礼装用袋帯(二重太鼓結び)

・礼装用の帯揚げ、帯締め

・重ね衿を入れるのもおすすめ

・礼装用の草履&バッグ

紋入りの「色無地」着物も

黒以外の単色で染められた「色無地」着物は、家紋を入れることで「フォーマル着物」として着用できます(紋無しの場合は原則として「カジュアル着物」の扱いです)。

訪問着や付下げと同じく「準礼装」の扱いとなりますので、結婚式のゲストの装いにもぴったりです。

すっきりとした装いを好まれる方には、結婚式のおよばれの席に色無地着物をお召しになってもいいでしょう。

紋入りの「色無地」着物

帯や小物のコーディネートは、訪問着・付下げと同様に礼装用を揃えます。

色無地着物は未婚既婚を問わず着用できますが、未婚のゲストは華やかな振袖姿で出席されたほうが新郎新婦にも喜ばれそうです。

いかがでしたか?

結婚式への招待が増えてくる季節になりました。

親戚やご友人、同僚の結婚式には、ぜひ着物姿で出席してみませんか?

谷屋呉服店では、振袖、訪問着、付下げのレンタルも承っております。

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