着物への想い

染織文化に魅せられて177年。

染織文化に魅せられて177年。

着物はとても不思議な衣装です。今でこそエコやリサイクル、SDGsといった考え方が浸透していますが、
着物が今の形になった頃は、全く異なる生活様式だったはずです。
ご存知の通り、着物は一反の反物からできています。その反物のどの部分をも無駄にすることなく
仕立てることで装うことができる優れものです。
装う人を選ばず、どんな方にもフィットする着物には時代を超えた魅力があると思います。
また、色と柄についても日本人の類稀な感性と芸術性を感じます。
草木や身の回りのものを題材にしたものから
縞模様や川を流れる水をデザイン化したものなど、そのバリエーションは無限です。
絢爛豪華な雰囲気から侘び寂びを感じるものまであらゆるアートが
着物に息づいています。

あらゆる美しさを実現した染技法

京友禅、加賀友禅、江戸友禅、摺り友禅、手描き友禅、藍染、絞り染と染の技法をあげていくとその途方もない数に圧倒されます。そして、それぞれの染で創作された着物のなんと美しく独特な輝きを放っていることか。
江戸の昔、京都の扇絵師として活躍した宮崎友禅斎が友禅染を完成させ、着物文化に彩りを添えました。着物の色や柄には意味や物語があり、その物語を纏う喜びは、普段の洋服では味わうことはできません。
作家、職人の遊び心に満ちた創作が着物を装うことをさらに楽しくしてくれます。

日本各地の産地で育まれた織の文化

着物の産地は、日本全国にあります。例えば紬。茨城県の結城紬や鹿児島県の大島紬は特に有名ですが、それ以外にも塩沢紬、牛首紬、黄八丈、小千谷紬、米沢織、博多織、久米島紬、久留米絣と枚挙にいとまがありません。
それぞれの産地には技法、風合いに特徴があり、結果として出来上がる着物にも独特の魅力があります。各産地の気候風土、歴史、そして人々の想いによって培われた着物たちは、ひとたび装えば、一瞬で虜になるようなパワーを持っています。私たちは、それらの着物や帯たちを少しでも多くの方々に伝えたいと考えています。

幻の技法と呼ばれた染織

時代の移り変わりとともに、日本伝統の染織技術も危機に瀕しています。
日本各地に点在する着物の産地は、人手不足、後継者不足で次代に伝えるべき技法が途絶えてしまう可能性があります。
ただでさえ、一朝一夕に学ぶことのできる技術ではない上に、自然環境にも影響されることから、益々生産数が減少し、店頭に並ぶことがほとんどない種類の着物もあるほどです。
私たちは着物を扱う呉服店として、これからも希少性の高い着物や帯、
和装小物などを皆様にご披露してまいります。