
創業30余年の『貴久樹(きくじゅ)』は、インドの野蚕(やさん)から作られる生地を使用し、アジアの染めや手刺繍を採り入れた着物や帯を製作しています。
貴久樹プロデューサーの糸川千尋氏は、京都大学文学部美術史学科を卒業後、庭師として京都の離宮や寺院の庭園管理に携わっていたという異色の経歴を持っています。
エスニック調でオリジナリティあふれるKIKUJUの着物や帯は、多くの着物ファンを魅了しています。
ワイルドシルクの織物

「ワイルドシルク」または「野蚕(やさん)」は、家蚕(かさん)=カイコ以外の「絹糸を取ることができる昆虫」の総称です。
屋内で飼育されるカイコと異なり、多くの野蚕は家畜化されておらず、屋外で「放し飼い」にされています。
ワイルドシルクには独特のツヤやシャリ感があり、野趣あふれる美しさが特長です。また、生地の強度や保湿性が高いことで知られており、機能面でも優れています。
貴久樹では、先代社長の糸川禎彦氏が「ムガシルク」(黄金糸)に魅せられたところから、ワイルドシルクを使った着物や帯の開発・商品化(ものづくり)が始まりました。
現在、KIKUJUブランドでは、タッサーシルク、ゴールデンムガシルクのほか、貴久樹オリジナルの生地である「ナチュラルタッサー」を使用したワイルドシルク製品を取り扱っています。
ナチュラルタッサーは、緯糸(よこいと)にタッサーシルク、経糸(たていと)に生糸を使用しています。
ワイルドシルクの織物は、丁寧に「手織り」で織り上げられ、独特な光沢を放つ着物や帯となります。
野蚕ならではの「ムラ」も味わい深く、着物ファンにとても人気があります。
自然界で生き残るための「丈夫さ」もワイルドシルクの特長の一つですが、それにもかかわらず驚くほど軽いので、着心地が良いというメリットもあります。
「エスニック」デザインが人気

更紗(さらさ)模様は、16~17世紀頃に日本にもたらされ、上流階級の人々に愛されました。
古くから着物や帯のデザインにも採り入れられてきたので、異国情緒とともにどこか懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。
貴久樹の着物や帯は、アジアの染めや刺繍を採り入れたデザインが魅力です。
インド更紗(手摺り木版更紗)や、インドネシアのバティック染め(ジャワ更紗・ローケツ染め)など、アジアンテイストな染め模様を着物や帯のデザインに使用しています。
更紗のデザインは、植物や動物の文様、幾何学文様などの緻密な繰り返しが多く用いられます。日本の伝統的な文様には無いモチーフも新鮮でおしゃれです。
KIKUJUブランドの着物や帯は、プロデューサーである糸川千尋氏が実際にインドやインドネシアに足を運び、現地の職人さんとコミュニケーションをとりながら、デザインを決めています。
アジアの刺繍(ししゅう)に魅せられて

インドや中国の伝統刺繍が入った着物や帯も、KIKUJUブランドの人気商品の一つです。
・カンタ刺繍(インド)
・カシミール刺繍(インド)
・ティカン刺繍(インド)
・スワトウ刺繍(中国)
・蘇州刺繍(中国)

一針一針縫いあげる「手刺繍」は、商品としての完成までに長い時間がかかります。
また、日本と同様にアジアの国々でも、刺繍を手掛ける職人さんの高齢化が進みつつあります。
縫い子さんの「手仕事」による刺繍の着物や帯は、その繊細な美しさに息をのむほど。一つ一つの製品が、まさに「一点もの」となる貴重な一品です。
「イカット織り」の帯

貴久樹では、イカット織りの手織りの帯も多数プロデュースしています。
近年、インドネシアの織物「イカット織り」の生地がファッションやインテリアの分野で人気を集めていますね。
「イカット織り」は、先染めの糸で模様を表現する織物で、日本では「絣(かすり)」と呼ばれています。
経糸(たていと)で模様を織り出す「タテ絣」、緯糸(よこいと)で織り出す「ヨコ絣」、さらには経糸・緯糸の両方で模様を表現する「タテヨコ絣」があります。
想像以上にデザインの幅が広く、エキゾチックなものから都会的でモダンな雰囲気のものまで、様々な表現を楽しむことができます。
イカット織りは日本の「絣」の織物の原点とも言われており、紬の着物などとの相性も抜群です。
ふだんの着物のおしゃれに、「イカット織り」の帯を採り入れてみませんか?
「手仕事」ならではの魅力

貴久樹の着物や帯からは、素材の圧倒的なクオリティと「手仕事」による上質さ・高級感が伝わってきます。
どの着物や帯をとっても一つとして同じ物はない「一点もの」としての存在感もあります。
アジアンテイストのデザインによる「オリジナリティ」は、多くの着物ファンを惹き付けてやみません。
KIKUJUブランドの着物や帯の魅力は、それだけではありません。
どことなく「ほっこり」とした温かみや可愛らしさが感じられるのも、機械製品にはない「手仕事」ならではの良さです。
貴久樹の着物や帯は、年齢を重ねても着続けられる「上品さと可愛さ」を兼ね備えています。
「貴久樹」の着物や帯を谷屋呉服店で

千葉県香取市の谷屋呉服店では、定期的に着物・帯・和装小物などの展示会を開催して、日本各地の名産品や逸品をご紹介しております。
近日中に、京都の人気ブランド「貴久樹(きくじゅ)」の着物や帯をご紹介する展示会を予定しております。その際には、ぜひ谷屋へお立ち寄りくださいませ。
貴重なワイルドシルク製の着物・帯のほか、アジアの「手仕事」による美しい「一点もの」の商品の数々を、お手に取ってご覧いただけるチャンスです!
