
高級絹織物の代名詞とも言える「西陣織」は、国の伝統的工芸品にも指定されています。
京都西陣の織元『おおば』は、古き良き伝統を守りながらも「新しい織物」に挑戦し続けています。
壁糸を使った「つづら錦」に代表される京都西陣『おおば』の帯についてご紹介します。
京都西陣の織元『おおば』

京都西陣『おおば』は、30年に渡り(株)白綾苑大庭で織物製作の指揮を執ってきた大庭圭价氏が、退職後に長男・左由夫氏とともに設立した織屋です。
大庭圭价氏は、それまで帯地に使用されていなかった壁糸を用いた「つづら錦」を昭和40年代に開発・商品化し、現在に至るまでロングセラーを続けています。
西陣織は国の伝統的工芸品にも指定されるなど、高級絹織物の代名詞として確固たる地位を築き上げました。
西陣織の主な製品は礼装用の袋帯ですが、伝統を重んじるがゆえに、革新的な織物を生み出しにくい環境であるとも言えます。
『おおば』では、大庭の帯に代表される「旧き良き伝統」をさらに深化させ、「新しい織物づくり」に挑戦し続けています。
『おおば』の帯

『おおば』の帯は、京都西陣伝統の先染めの帯(織の帯)です。
金銀糸や様々な色糸を用いた唐織、佐賀錦などの先染めの帯は、振袖、留袖、訪問着といった「礼装」に合わせる格式の高い帯です。
『おおば』の帯は多色づかいの鮮やかな色彩が特徴的で、「晴れの日」の装いをより引き立たせてくれます。
さらに、『おおば』では、現代の着物ファンの要望にこたえるモダンなデザインの袋帯・名古屋帯の製作も手掛けています。

つづら錦
『つづら錦』は、帯地にあまり使用されることがなかった「壁糸(かべいと)」を用いた製品です。
壁糸とは、強い撚り(より)をかけた太い糸と甘撚りの細い糸を組み合わせた特殊な絹糸です。
太い強撚糸が細い糸に「らせん状」に巻き付いた壁糸には、独特なシャリ感が生まれます。
主に、夏物の着尺である「壁上布」に用いられていますが、取り扱いが難しいため、帯地としてはほとんど使用されていませんでした。
大庭圭价氏は、織機の改良など10年の研究開発を経て、「つづら錦」の商品化に成功しました。
現在までロングセラーを誇る大ヒット商品となっていますが、「つづら糸」を帯の柄糸として用いる手法は、現在でも「つづら錦」だけです。
つづら錦の帯は、西陣織の高級感と品格を備えながら、落ち着いた色合いでモダンなデザインにも適しています。
「つづら錦」の帯には、それまでの袋帯では表現できなかった多くの特長があります。
・光沢が少ない
「ツヤ」(光沢)は絹織物の大きな特徴の一つですが、光沢をおさえることで、シックなデザインにも適したおしゃれな帯が製作できます。
・軽い
壁糸は通常の絹糸に比べて軽量なため、軽くて快適な締め心地の帯となります。
・シワになりにくい
独特な「シャリ感」のあるつづら錦の帯は、シワがつきにくいというメリットもあります。
・毛羽立ちが少ない
一般的な唐織の袋帯に比べて「毛羽立ち」が少ないので、「アフターケアいらず」という嬉しい特長があります。
・多色づかい
『おおば』の帯は、鮮やかな多色づかいを特徴としています。
一枚の帯に25色~30色もの色糸を織り込むこともあります。どんな色の着物にも合わせやすい使い勝手のよいデザインになっています。
手織り錦・手織り佐賀錦
織り手の減少により、手織り錦・手織り佐賀錦はたいへん貴重なものとなっています。
西陣織でも全体の生産数の数パーセントほどですが、手織りでしか表現できない独特な風合いは、まさに「逸品」と呼ぶにふさわしいといえましょう。
『おおば』では、そんな貴重な手織り錦・手織り佐賀錦を大切に守り続けています。
九寸名古屋帯
西陣織というと、礼装用に袋帯を思い浮かべるのではないでしょうか。
西陣織の重厚感と高級感は、「晴れの日」の装いにぴったりですね。
その一方で、近年は、カジュアルな場面で気軽に着物のおしゃれを楽しみたい!という着物ファンも増えてきています。
その声にこたえる形で、『おおば』でも小紋や紬など「カジュアル着物」に合わせられる九寸名古屋帯の製作も行っています。
カジュアル向きと言っても、決して京都西陣『おおば』のクオリティを落とすことなく、柔らかめの手触りで締め心地のよい帯になっています。
半幅帯
近年、より手軽に締められる半幅帯の人気が高まっています。
さっと着付けができて、ちょっとしたお出かけにも便利ですね。
様々な変わり結びを楽しむことができて、着物のおしゃれの幅をぐっと広げてくれます。
『おおば』の特長である独特な色づかいや風合いはそのままに、半幅帯に最適な糸本数に調節して織り上げています。
ちらっと除く裏地の色づかいにも『おおば』のこだわりが光るおしゃれな半幅帯です。
京都西陣『おおば』の帯を谷屋呉服店で

千葉県香取市にある谷屋呉服店では、全国各地の名産品を取り寄せた展示会を定期的に開催しています。
今後、京都西陣『おおば』の帯をご覧いただける展示会も開催予定となっておりますので、その折はぜひお立ち寄りくださいませ。
伝統に甘んじることなく、新しい織物製作に挑戦し続ける『おおば』の帯は、最高級品質とモダンなデザインで、着物ファンにとても人気があります。 フォーマルシーンからカジュアルシーンまで、着物・帯・和装小物のコーディネートは、谷屋スタッフにお気軽にご相談ください。