京都嵐山に本店を構える着物メーカー「さくら桟敷」は、「月と桜」のモチーフにこだわったものづくりで知られています。
東銀座にある東京支店のほか、歌舞伎座の木挽町(こびきちょう)広場にも出店しています。歌舞伎鑑賞の折に、「さくら桟敷」の和小物をお手に取られたことがあるかもしれません。
京都らしい「はんなり」した風情を感じさせる着物と和小物が人気です。
京都嵐山「さくら桟敷」のものづくり
「さくら桟敷」(株式会社円夢)は、平成3年の創業から「桜と月」をテーマにした着物や和小物の製造・販売を行っているメーカーです。
桜と月は、どちらも日本人にとってなじみのあるモチーフですが、それだけに限定したものづくりは簡単なことではありません。
桜と月にまつわる歴史や日本人との深いかかわりを掘り下げた「こだわり」のものづくりは、着物好きや和雑貨ファンの心をつかんでいます。
「桜」のモチーフ
桜は、言わずと知れた日本を代表する花の一つです。
日本には法律で定められた「国花」はありませんが、日本を象徴する花として誰もが認めるでしょう。
まだ寒さの残る時期に、だんだん桜のつぼみが膨らんでくると、「春の訪れ」に心が躍ります。
桜が咲く季節は、卒業・入学シーズンとも重なりますので、「別れ」や「新生活」をイメージして、何となく切なくなる方も多いですよね。
着物のマナーやTPOでは「季節感」を重視しますので、桜の着物や帯はいつ着たらいいの?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
桜は「春の花」ですが、文様(モチーフ)化された「桜」は一年中いつでも身に着けることができます。
なお、枝付きの桜など、写実的な桜が描かれた着物や帯の場合には、桜が咲き始めるより前に、少しだけ「季節を先どり」して着るのがおしゃれです。
「月」のモチーフ
現代の日本では「太陽暦」が採用されています。
江戸時代までは、「月の暦」を基にして生活が営まれていましたので、日本人にとって「月」は今よりもっとなじみ深い存在でした。
日本語には月の満ち欠けを表す風流な語彙もたくさんあります。
春のお花見もいいですが、秋のお月見も楽しみですね。「満月」を鑑賞する「十五夜」は中国由来の習慣ですが、日本には少し欠けた「十三夜」を楽しむ習慣があります。
開花前から満開、散りゆく桜まで、様々な桜の様子を楽しむように、満月の前や欠け始めた月をめでるのは、いかにも日本人らしい習慣ですね。
このように、どことなく神秘的なイメージのある「桜と月」は、互いに相性の良いモチーフです。
「月暦(つきごよみ)」の帯と和装小物
月齢(月の満ち欠け)をモチーフにした「月暦(つきごよみ)」のシリーズは、さくら桟敷の代名詞とも呼べるデザインです。
袋帯、名古屋帯、半幅帯の各種がありますので、様々なシーンに合わせて着用できます。
「月暦」の帯地を使用した和装バッグも人気です。
独特なデザインと優しいカラーで、和装はもちろん、洋装に合わせてもおしゃれです。
「さくら桟敷」の着物
京都のものづくりは、職人集団による「分業制」で知られています。
さくら桟敷では、京都の一流の職人との対話を通して、「桜と月」にこだわるものづくりを行っています。
京都の市街(洛中・らくちゅう)と郊外(洛外・らくがい)の景観を背景に、咲き誇る桜を描き上げた訪問着などを製作しています。
着物ファンなら「一枚は持っておきたい」と思われるような、美しい桜模様の訪問着はいかがですか?
さくら桟敷らしい「月暦」のモチーフと桜を合わせたデザインも人気です。
草履と鼻緒
「さくら桟敷」オリジナルの草履は、台の高さや鼻緒をカスタマイズしてオーダーできます。
桜と月のモチーフが刺繍された鼻緒のほか、日本昔話や伝統柄の刺繍が入った鼻緒も人気です。
遊び心を感じさせる「刺繍半衿」
さくら桟敷の「定番商品」である刺繍半衿は、地模様入りの生地に「桜」、「月」のほか、「猿蟹合戦」や「鶴の恩返し」など昔話のモチーフもあります。大人の「遊び心」を感じさせるデザインで、衿元のおしゃれを楽しんでみませんか?
歌舞伎座とも縁の深い「さくら桟敷」ならではの、歌舞伎の演目にちなんだ「助六」「連獅子」「義経千本桜」などのモチーフも人気です。
着物で歌舞伎鑑賞に出かけられる時に、「さくら桟敷」の半衿をつけて、自分だけのひそかなおしゃれを楽しむのも粋ですね。
「守り月」の和小物
さくら桟敷の「人気定番商品」の一つが、「守り月」にちなんだ和小物・和雑貨です。
「守り月」とは、自分が生まれた日に出ていた「月」のことです。
いろいろな調べ方がありますので、調べ方によってずれが出る場合もあります(間違いではありません)。
ご自身の「守り月」が描かれた和小物を身に着けて、お月様に祈りをささげてみてはいかがでしょうか?
『桜十選』展・さくら桟敷の着物を谷屋呉服店で
京都嵐山に本店がある「さくら桟敷」は、美しく神秘的な「桜と月」のモチーフにこだわったものづくりで知られています。
京都らしい「はんなり」した風情と、独特な「月暦」のデザインなどで、着物ファンにとても人気があります。
千葉県香取市の谷屋呉服店では、日本全国から取り寄せた名品をご紹介する「展示会」を定期的に開催しています。
「さくら桟敷」の着物や帯、和小物をご紹介する『桜十選』の展示会を予定しておりますので、その折はぜひお立ち寄りくださいませ。